4 東京地裁 平成4年12月21日判決 損害賠償請求事件 
        判例時報1485-41
 
 
一 請負人の瑕疵担保責任に関する民法634条以下の規定は、単に売主の
 担保責任に関する同法第561条以下の特則であるのみならず、不完全履
 行の一般理論の適用を排除するものである。
二 監理契約の法的性質は準委任契約であり、その債務不履行に基づく損害
 賠償請求権は、原則として監理終了のときから10年で時効によって消滅す
 るが、それ以前に請負人の瑕疵担保責任が除斥期間の経過によって消滅し
 た場合は、その工事瑕疵に関する監理者の責任も同時に消滅する。
 
裁判所の判断
一 請負人の瑕疵担保責任に関する民法第634条以下の規定は、単に売主
 の担保責任に関する同法第561条以下の特則であるのみならず、不完全
 履行の一般理論の適用を排除するものと解すべきであり、瑕疵担保責任を
 問うのはともかく、不完全履行の責任は問い得ないと言うべきである。
二 監理契約に基づき建築士が負担する債務は、その者の責任において、工
 事を設計図書と照合し、それが設計図書のとおりに実施されているかいな
 いかを確認し、工事が設計図書のとおりに実施されていないと認めるとき
 は、直ちに工事施工者に注意を与え、工事施工者がこれに従わないときは、
 その旨を建築主に報告すること等を内容とするものであり、それは建築主
 のために一定の事務を処理することを内容とするものであるから、監理契
 約の法的性質は準委任契約であると解すべきである。そうである以上、そ
 の債務不履行に基づく損害賠償請求権は原則として監理終了の時から10
 年(商法第522条の適用がある場合は5年)で時効によって消滅するこ
 とになるが、それ以前に請負人の瑕疵担保責任が除斥期間の経過によって
 消滅した場合は、その工事瑕疵に関する監理者の責任も同時に消滅すると
 解するのが相当である。何故ならば、監理者は、建築主の建築物完成の目
 的実現に寄与すべく、工事が設計図書のとおりに実施されるよう請負人の
 施工を監理するものであるから、その責任は請負人の責任との関係におい
 て補充的責任たる性質を有するものであるところ、瑕疵を生じさせた請負
 人の瑕疵担保責任が消滅した後においても監理者の責任が存続することは、
 均衡を失することになるし、また、建築物は時間の経過によってその瑕疵
 の存否の判断が困難になる場合が多いが、請負人の瑕疵担保責任が消滅し
 た後においても、監理者の責任が監理終了の時から10年間(あるいは5
 年間)は消滅しないことになると、監理者の立証に支障を生じるおそれが
 あるからである。
 
コメント
  請負人の瑕疵担保責任については、その除斥期間が契約によって短縮さ
 れていることが多いと思われるが、このような場合に、監理者に対する請
 求権も消滅すると判示しているものであり、時効の管理上、注意すべきで
 ある。
 

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