6 京都地裁 平成4年12月4日判決 損害賠償請求事件 判例時報1476-142 ・ 設計者の設計・協議が、「注文者の指図」にはあたらず、請負人の瑕 疵担保責任を認めた事例 ・ 設計の不備について、民法418条の過失相殺の規定を準用して、請 負業者の負担すべき損害額を五割減額した事例 一、争点 訴外A(設計者)の設計に原因する瑕疵ある工事について、「注文者 の指図」があったといえるか 二、裁判所の判断 1、 建築工事請負人は、有償契約の一方当事者であり、かつ専門的知識 ・経験を有するものとして専門的技能を十分に駆使して仕事を遂行す ることが期待されている。したがって、工事請負人が、工事に関する 注文者の指図に従って工事をすれば、その指図の当不当を吟味しなく とも、常に担保責任を免れると容易に理解することはできない。そう であるとすれば、工事請負人の担保責任を免除するような注文者の「 指図」とは、注文者の十分な知識や調査結果に基づいて行われた指示、 あるいはその当時の工事の状況から判断して事実上の強い拘束力を有 する指示などであると制限的に理解しなければならない。 2、 本件施工は、A事務所の設計による天井の厚みが十分でなかったこ とに起因している上、A事務所が本件施工を承認していた。 しかし、被告は、配管工事だけを個別に受注したわけではなく、本 件建物全体の新築を請け負った大手の建設業者であって、具体的な工 事の施工に関してはある程度の発言権があると考えられること、A事 務所が建築全般に関して専門的知識を有するとはいえ、給排水設備の 施工に関しては、建築請負業者たる被告の専門的知識・経験が勝って いると考えられることに照らせば、A事務所の意向が常に絶対的・拘 束的であったとまで認めることもできない。 3、 もっとも、本件施工をせざるを得なかった根本的原因は、本件建物 の設計それ自体に存する。そして、設計まで含めて本件建物の建築を 請け負ったのでない被告に対し、専門家の行った設計の不備の責任ま で負わせることはできないから、民法636条の法意に鑑み、同法 418条の過失相殺の規定を準用して、本件施工による損害の五割を 減額すべきである。
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