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2月17日(木)、京都弁護士会館で2月の例会を開催しました。 出席者は25名で、欠陥建築で土地売買契約を解除した事例を小川達雄弁護士が事例 報告。仲介業者の責任について草地邦晴弁護士が研究報告しました。 知らない間に、無許可・欠陥住宅を建てられる 事例報告の案件は、98年の秋にネットで受任したものです。 相談者は広告で左京区岩倉にある建築条件付の土地を見て、不動産業者に電話。自宅 の下取売却を前提に4500万円で売買契約を結びますが、900万円の手付金を払 った後、十分な打ち合せや建築請負契約も図面もない中で、建築工事が始まり、おか しく思ってネットに相談に来られました。 ネットではすぐに建築士が現地調査。すると構造と間取りが一致しておらず、違う間 取りで加工した部材を使って無理に建てている様子で、構造に問題があります。また、 無許可建築で京都市から工事停止命令が出ていました。すぐに弁護士を加えて対応を しますが、調べると土地は不動産会社の親会社の抵当権が設定されており、親会社は 倒産して特別清算手続き中だとも分かりました。すぐに契約違反で交渉しますが、の らりくらりの返事で工事を続行。3月に京都地裁に手付金及び違約金の支払いを求め て提訴し、債務不履行で土地売買契約の解除を申し立てました。 裁判官が土地売買での債務不履行の根拠を求めたので、準備書面では、売買契約の内 容として3ケ月以内に建築請負契約を締結し、土地の分筆をおこなうとなっている点 と、違反建築によって銀行融資の実行が不可能になった点を強調ました。 8月には勝訴判決が出て土地の仮押えをおこない、宅地建物取引業協会に対して業者 が供託している保証金の還付請求を申立てました。 非常に早い対応ができたケースですが、恐ろしいことは、仮押えした建物を転売して 他の人が住んでいること。また隣地にその業者が販売した住宅が建っていることで、 その悪質さには呆れてしまいます。 仲介業者にも責任はある 研究報告は、草地弁護士が、欠陥住宅の仲介をした業者の民事責任について、宅地建 物取引業法や過去の判例から論点をまとめました。 過去の判決では、仲介業者が責任を問われた判決は少なく、被害者にとって厳しいも のばかりです。 主な理由として、法的に義務付けられている重要事項説明に建物の欠陥の有無や性能 について含まれていないこと。仲介業者は建築の専門的能力がないと見られているこ と等があげられました。 ただ、判例の中では、@取引の重要な要件として購入者が重視していた事項、A建築 基準法違反、構造上の安全性を欠くことなどを知っている場合、または疑いがある場 合は、説明義務が発生すること。 知らない場合でも、B素人でも分かるような事項や、C建築確認図面と実際の建物が 違う場合には、調査・説明義務が発生するとした判決もあり、その辺りで責任を追求 していけるのではないかと問題提起しました。 会場からの質議では、仲介業者と販売業者が関連会社であったり、同一会社であった りする場合が多く、欠陥建築の多くは単純な仲介でないこと、そういった意味では、 品質が叫ばれる中で、不動産売買だけいい加減な売り方が通用していることに不満の 意見が出ました。 【紹介した判例】 @横浜地判 平成9年5月26日 判夕958号189貢 事例 マンションを購入したところ、バルコニーの増築部分が、建築基準法27条 の耐火建築物の要請を満たしていない違法建築であると知る。買い主は詐欺と して、契約は錯誤として無効であり、売り主と仲介業者に対して不法行為で損 害賠償請求を求める。 判決 買い主は現状を確認して購入しているので、契約の錯誤無効は否定。違法建 築によって不利益を被ったとは言えないと判断。但し、仲介業者については、 「建物自体の性状如何が売買取引における最重要事項の一つであることは明ら か」「少なくとも違法建築の存することか判明している限り、仲介依頼者であ る買い主に対して、重要事項説明において違法建築の存することを告知するの が当然」として、慰謝料の支払いを命ずる。 A大阪地判 昭和43年6月3日 判夕226号172貢 事例 宅地造成を目的に山林を購入したところ、古墳を包蔵していたために開発で きなくなったとして、仲介業者及び売り主に対して損害賠償請求を求める。 判決 古墳があることを知っていた売り主の瑕疵担保責任は認めた。しかし、仲介 業者については、一般に明示してある古墳でなかったことから、高度の専門的 知識や鑑定能力を望むことは到底無理であるとし、業務上の注意義務を怠った とは言えないと判断。 G松山地判 平成10年5月11日 判夕994号187項 事例 仲介で購入した宅地に住宅を新築。ところが南側の隣接地に高さ8メートル の高架道路が建設され、日照、通風等の被害を被る。事前に告知しなかったこ とについて、売主に対して債務不履行等の責任、仲介業者に対しては不法行為 責任があるとして、土地・建物の減価等による損害賠償請求をおこなう。 判決 高架道路建設計画を知っていた売主は、債務不履行責任がある。建設計画を 知らなかった仲介業者についても「その業務上、買い主側の購入目的にかなう 土地の仲介をするために、周辺土地の環境を調査し、その結果を説明報告すべ き義務があるところ、・・高架道路の建設計画があることは、登記簿謄本を閲 覧するなど調査すれば容易に知り得たのに、これを怠った過失が有ると言わざ るを得ない」として、宅地建物取引業法の不法行為責任を認める。 C神戸地判 平成11年9月20日 判例集未搭載 事例 震災で賃貸マンションが倒壊し入居者が死亡。家族がマンションの欠陥工事 が原因だとして、所有者と構造上の安全性を欠く建物の賃借を仲介した業者に 対して損害賠償を求める。 判決 倒壊は建物の欠陥が原因だと認定し、所有者に対して損害賠償を求める。し かし、斡旋した仲介業者については、「仲介業者は建物の構造上の安全性につ いては建築士のような専門的知識を有するものではないから、一般に、仲介業 者は、仲介契約上あるいは信義則上も、建物の構造上の安全性については安全 性を疑うべき特段の事情の存在しない限り調査する義務まで負担しているもの ではない」として責任を否定。 |