建築基準法改正案についての緊急アピール
一 政府は、1998年3月17日、建築基準法の改正法案を今国会に上程することを閣議決定し、
5月上旬から本格的論議が開始されようとしています。
右改正案では、「特定行政庁が一定の構造、用途等の建物について、中間検査を受けるべき工程
を指定する。建築主は、当該工程について、建築主、指定確認機関の中間検査を受けなければ工事
を続行してはならない。」とする中間検査制度の導入が予定されています。
問題は、改正法案が、「建築確認・検査の民間開放」と「4号建物(居住用建物)についての中
間検査制度の特例」を導入しようとしている点です。
二 まず、改正法案では、「建築確認・検査事務は、これまで地方公共団体の建築主事のみが行って
きたが、これを、建築主事に加え新たに必要な審査能力を備える公正中立な民間機関(指定確認機
関)が行うことができるものとする。」(建築確認・検査の民間開放)としています。
しかしながら、住宅は、国民一般にとって高価な一生の財産であり、住宅の欠陥は、生命身体に
重大な影響を及ぼします。したがって、例えば薬品行政と同じく、行政が、その責任において、建
物の最低限度の安全性に関する建築基準法令の規定が遵守されているか否かについて厳格な検査を
行うべきです。
改正法案は、「公正中立な民間機関」の創設を企図し、株式会社も含むとしていますが、営利を
目的とする株式会社が「公正中立」な立場を保持できるとは到底考えられません。
三 また、改正法案では、中間検査制度を導入しつつも、建築基準法6条1項4号の所定の木造戸建
住宅等(いわゆる4号建物)については、「建築士による適正な監理がなされていることが確認さ
れたものについては、実地検査を省略する。」との特例を設けています。
しかし、そのような特例が設けられば、現在最も被害が深刻で社会問題となっている居住用建物
(住宅)については、建築士が監理を行ったとする書面を提出しさえすれば、実地の中間検査が不
要になり、その結果、中間検査制度を導入することの意義が大きく損なわれてしまいます。とりわ
け、住宅の購入が工事監理を依頼することすら不可能となっているハウスメーカー等による建売住
宅の場合には、極めて問題です。
四 さらに、今回の建築基準法改正作業の過程で、国民各層、とりわけ欠陥住宅被害に重大な利害関
係を有する消費者から意見聴取を行うことなく、改正法案が作成され、国会に上程されようとして
いることは、建築基準法が国民生活に重大な利害関係のある法律であるだけに、手続き上、極めて
問題です。
五 以上をふまえて、わたくしたちは、今回の建築基準法改正にあたり、少なくとも左記の二点を盛
り込むことを求めます。
記
@ 建築基準法令の規定が遵守されているか否かについての検査、とりわけ中間検査を、行政の責
任に おいて行うこと
A いわゆる四号建物についても、実地の中間検査を実施すること
右決議する。
平成10年4月26日 欠陥住宅被害者全国連絡協議会 第5回京都大会 参加者一同
住宅品質確保促進制度についてのアピール
建設省は、「適正かつ合理的な住宅性能に関する規格を制定し、これを普及させることによって、
住宅の質の向上、取引の単純公正及び使用又ば消費の合理化を図るとともに、住宅の性能に関する適
正な表示、瑕疵保証及び住宅に関する紛争処理体制の充実を促進することによって、一般消費者の選
択に資すること及びその保護を通じて、もって、住宅市場の条件整備を図ることを目的として」、@
性能表示制度、A瑕疵保証制度、B紛争処理機関としての住宅紛争審査会を中核とする住宅品質確保
促進制度の創設を検討し、来年早々にも、法律案を策定することにしています。
住宅品質確保促進制度の目的それ自体は、これまで欠陥被害の根絶に向けて取り組んできた私たち
の立場からも、それなりに評価することができます。
問題は、制度の内容が、欠陥住宅被害の予防ないし解決のために真に実効性のあるものか否かにあ
ります。わたくしたちは、住宅品質確保促進制度の内容について、本日、検討した結果、少なくとも、
下記の点に十分配慮することが必要であることを確認し、そのことを強くアピールします。
記
@住宅性能表示の基準及び瑕疵保証基準が、低レベルのものであれば、住宅供給者に対し手抜きの
免罪符を与えることにもなりかねません。したがって、住宅性能表示の基準及び瑕疵保証基準は、
良質の住宅を確保するに足りる十分な水準のものでなければなりません。
A欠陥住宅被害が、重層的下請関係及び設計・施工一貫方式による監理の形骸化に起困して発生し
ていることからすれば、住宅性能評価については、公平な第三者による評価に一本化し、住宅供
給者による自己評価を認めるべきではありません。
B瑕疵保証制度が、単に抽象的に構造上の瑕疵を推定するだけであれば、具体的な修繕方法ないし
損害賠償額をめぐって、これまでと同様に紛争が長期化することになります。したがって、一定
の不具合現象が認めれた場合には、例えば、想定される構造上の瑕疵のうち最も重大なものにつ
いての修繕費用相当額の損害賠償責任を推定するなどの措置が必要です。
以上
1998年11月14日 参加者一同
建築物検査制度の充実を求めるアピール
欠陥住宅被害全国連絡協議会は、5月29日、30日、広島市において、第7回全国大会を開催した。
今回の大会では、
@建物の安全性の実現に向けて堺市役所の真摯な取り組みの紹介、
A住宅品質確保促進法案の内容と問題点の報告、
B手抜き業者の建物の解体・撤去を命じた被害者勝訴の判決報告、
C裁判に勝つための調査報告書作成のノウハウ等が行われた。
いずれも欠陥住宅被害の根絶に向けての有意義な内容であり、熱心な質議と討論が行われた。
なかでも、参加者に対し大きな感銘を与えたのは、建物の安全性の実現に向けての堺市役所の真摯な
取り組みであった。
堺市役所では、3階建て戸建住宅について、現場での中間検査を実施し、建築基準法に違反した工事
の中止を命令したり、安全に問題のある建物についての相談会を実施したり、さらには銀行に対し安全
に問題のある建物の建築資金を融資しないよう申し入れる等の有効かつ適切な取り組みを積極的に推進
している。
堺市役所の取り組みを可能にしたものは、欠陥住宅の被害を根絶したいという担当者の熱意であり、
現行建築基準法のもとでも、行政担当者の熱意如何によって、相当制度の施策をなし得ることが明らか
になった。
現行建築基準法では、4号建物について監理者が適切に監理した旨の書面を提出することにより中間
検査の実施を省略することができるとしており、中間検査制度が有効適切に機能するかについては大き
な疑問がある。
私たちは建築基準行政を担当する全国の自治体が、建築基準法があくまでも最低基準を定めたもので
あること、建築基準法の限界を認識し、堺市役所の取り組みを参考にして、真に実効的な中間検査制度
の実施等、建物の安全性実現のための充実した取り組みを早急に開始することを求める。
1999年5月30日
欠陥住宅被害全国連絡協議会 第7回広島大会 参加者一同
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